就活スタート号 保育・幼児教育系学生版
29/192

実習園を選ぶとき、単に学習の場としてとらえるのではなく、そこへ就職する可能性まで意識しておくことが、のちのち重要なポイントになります。実習経験を踏まえて選考に臨めるだけでなく、「未来の同僚」や保護者の雰囲気を早くからつかめ、園の特色や魅力も具体的に見えてきます。その意味で、私にとっては実習先の選択が就職活動の第一歩でした。実習は選考の場ではありませんが、思った以上に立ち居振る舞いを見られていることも忘れずに行動してください。後輩たちに伝えたいこと 幼い頃から高校2年生になるまでの長年にわたり、そろばん教室に通っていた米山さん。そこでは年上の生徒が年下の生徒の面倒を見るシステムが採られており、米山さんも先生のサポート役として教える立場を経験していた。 「3歳くらいの生徒もいたので、そろばんの技術を教えるというよりは『まずは正座を練習してみよう!』というような、学ぶためのベースを教える感じでした」 毎年夏には、参加生徒100人規模のキャンプも開催。泊りがけのイベントであり、その間の生徒の生活サポートは中学生や高校生の役割となる。 「私も中高生のときにリーダーを務めましたが、たくさんの子どもたちを引率するのは大変。大人のスタッフと連携してスムーズにスケジュールを進めていくことは、かなり難しい仕事でした。移動する、食べる、遊ぶ、寝るなど、さまざまな場面で子どもたちに楽しみ方や守るべきルールを教える難しさと喜びを初めて実感したのも、このときでした」 こうした経験から「将来は子どもに関わる仕事がしたい」と漠然と考えていた米山さんは、真剣にてくれないので、責任実習では企画に頭を悩ませました。子どもたちの様子を見て、コツコツと制作させるよりは思い切り遊べるほうがいいと考え、膨らませたポリ袋をたたいて飛ばすロケットを作ることに。年齢幅があるので難易度の設定が難しく、部品となる紙コップに絵を描くだけで時間切れになった子どももいて、計画通りではありませんでしたが、年長児が年少児を自然に手伝う姿が見られました」 お昼寝の時間には、就学を控えて昼寝が必要ではなくなった5歳児が、3歳児を優しく寝かしつけている様子が印象に残っている。 「まるできょうだいのような関係性ができていて、とても素敵な環境だなと感じました。そのとき、保育士をめざした原点であるそろばん教室での経験も異年齢保育のようなものだったと気づき、『私のやりたい保育はこれだ!』と腑に落ちたのです」 米山さんが就職活動をスタートさせたのは、実習が一区切りして周囲も動き始めた4年生の9月だったが、大学に集まってくる就職情報を確認して驚いたという。 「あまりにも情報量が多くて戸惑いました。あの時点で志望する園を一から考え始めたとしたら、迷うことが多すぎて一歩踏み出すのも難しかったと思います」 キャリアサポートの先生のアドバイスを受けながら、まずは心魅かれていた実習園にエントリー。系列園の見学、保育実習試験、面接とスムーズに進み、活動を始めた9月のうちに無事内定を得ることができた。 「私が採用プロセスに進んだのは実習園だけで、ほかはエントリーも見学もしていません。結果的に、ほかの保育園を知らないまま就職することになります。就職活動の過程でいろいろな保育の現場を見ておけばよかったかもしれませんが、初めから自分にマッチする園に出合えたと確信できたことが幸せです」 自分が子どもの頃から良さを実感してきた、異年齢の関わりを大切にした保育を実践する――。その機会を手にして、米山さんの笑顔は輝いている。 「保育園は、子どもたちが保護者と離れて1日の多くを過ごす第2の家庭のような場所です。子どもにも保護者にも『この先生がいるから大丈夫』と思ってもらえる、そうした安心感を与えられるような存在になりたいです」自分の進路と向き合った高校3年生のとき、保育の道を選んだ。 初めての保育実習で1歳児を担当した米山さんは子どもたちの「人見知り」という壁にぶつかった。 「子どもたちがかわいくて、お世話したいと心から思っているのに、私が行くと泣いてしまう。近づくことさえできなかったことが、何よりつらかったですね。本当に保育士になれるのか、不安な気持ちでいっぱいでした」 その後、米山さんが大学での表現教育の講義により力を入れるようになったのは、「思いだけでは子どもへ伝わらない」と感じたからだ。1枚の写真で示された内容を、言葉を使わず体で表現して伝える訓練は、言葉が十分に通じない子どもと接するうえで大いに役立ったという。 気持ちを切り替えて臨んだ2回目の保育実習では、3~5歳児の異年齢クラスを担当した。園児の自主性を尊重する自由度の高い保育園で、制作活動へ参加するかどうかも子どもの意思に委ねられていた。 「子どもたちが楽しいと思える魅力的な提案をしないと誰も集まっ保育士をめざした原点は幼い頃から通ったそろばん教室保育実習で味わった挫折とそこから得られた気づき就職活動は一直線! めざす保育を実現できる園へ『こんとあき』作:林明子 出版社:福音館書店キツネのぬいぐるみ「こん」と小さな女の子「あき」は、こんのほころびた腕を直してもらうために電車に乗り、おばあちゃんのもとへ旅立ちます。電車の中や砂丘を舞台に展開する道中は、まさにハプニングの連続! こんとあきの心を通わせながらの冒険を、子どもたちと一緒にハラハラドキドキしながら追いかけたい一冊です。私が選んだオススメ絵本先輩たちのホンネ 〜私たちがめざす保育士というシゴト〜29

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る