就活スタート号 保育・幼児教育系学生版
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「園長先生が、ほかの先生方を厚く信頼していることが言葉の端々から伺えました。いつか私が行事の提案をできるようになったとき、きっと同じ目線に立って一緒に考えてくださると確信できて、意志が固まりました」 結果、実習園を第一志望として応募し、10月に無事内定を得た。 「これから子どもたちの命や健康を預かる職業に就くことに、いまさらながら不安もあります。一方で、保育の仕事はずっとあこがれだったので、うれしくてこれからが楽しみで仕方ないという気分でもあります。働き始めたら壁にぶつかる日も来ると思いますが、『それでもやっぱり、この仕事が好きだ!』と胸を張れるように頑張っていきたいです」 莊埜さんの目は、さらに将来を見据えてもいる。 「障害児教育の授業で先生の話に感銘を受け、社会福祉士の仕事にも興味を持つようになりました。この方面の勉強もして、いずれは子どもだけでなくその家庭も支えられるようになりたい。それこそ施設実習で触れた乳児院のような現場に入れる日が来たらいいなと夢見ています」就職活動の前に、自分が絶対に譲れない条件を決めておきましょう。保育理念、人間関係、待遇、立地などについて、何が譲れないのか、どこまでなら許容できるのか、軸を定めておいてください。きっと魅力的な園がたくさんあって迷ってしまうので、しっかり判断基準を持つことが自分にとってベストの職場にたどり着く近道だと思います。また、志望先に関するクチコミに流されず、WEBで得た情報を見学会などで実際に確かめることも大切です。後輩たちに伝えたいこと 莊埜さんは、保育士である母親の背中を見て育った。毎朝のように一緒に登園し、その現場で働く姿を「カッコいい」と幼心に感じていたことが、保育士をめざした最も大きなきっかけだった。小学校の広い校庭を借りての運動会や市民館での卒園式など華やかな行事は楽しかったが、一方で寂しさも感じていたという。 「母は別クラスの担任として行事に参加しているので、ほかの子どもたちの面倒を見ています。『私のお母さんなのに!』という気持ちが常に心のどこかにありました」 そうした心のすき間をありあまる愛情で埋めてくれたのは、莊埜さんのクラス担任の保育士だった。 「といっても、私が特別扱いされたわけではなく、みんなに等しく優しい先生でした。当時撮影した映像を見ても、一人ひとりの個性に合った保育をしてくれていたことがわかります」 母親と担任の先生、この2つの理想像を胸に莊埜さんは迷うことなく保育士をめざし、音楽大学併設の短期大学へ進学した。 「音楽教育のレベルが高く、特にピアノの授業では鍛えられました。今でも得意とは言えませんが、は、人間関係の良さだった。その点、1・2年生時の保育実習で訪れた保育園は、まさに理想の環境だったと言う。 「先生方が信頼し合い、心から素敵だなと思える保育をされていました。しかも、実習の最終日には『ぜひ一緒に働きましょう』と声をかけていただいたのですが、1つだけ気になる点があって……」 園庭が小ぶりで、すべての行事が室内で行われていたのだ。華やかで大がかりな行事に思い入れがあった莊埜さんとしては、その魅力を感じつつも、少し寂しい気持ちが残った。 そこで実習・進路サポート室に相談したところ、今度は大規模な園を見学することになった。ここではちょうど運動会の練習が行われており、眼前で展開される理想通りの光景に興奮した。しかし、帰宅してから母親にその話をすると、意外な言葉が返ってきたという。 「立派な園庭やホールもいいけれど、そこであなたは何をやりたいの?―― そう問われてハッとしました。ただ華やいだ雰囲気で楽しみたいという漠然としたイメージだけで気持ちが揺れていたのです」 莊埜さんは再び実習園を訪問し、園長と対面して思いのたけを語った。もう迷いはなかった。弾いてと言われたら何としても弾きこなす根性がつきましたね。また、週1回の授業日までに必ず目標を達成するという習慣ができたと思います」 短期間に集中して物事を達成する習慣は、実習でも役立った。実習中にメモはほとんど取らず、帰宅後の印象が強いうちに実習日誌を書く。やるべきことを終わらせてから休憩するスタイルをキープし、余裕を持って睡眠時間を確保することもできた。 2年生の7月、施設実習で割り振られたのは乳児院だった。温かい一般家庭のような環境ではあったが、子どもたちの背景にあるものを考えると泣き出してしまいそうな自分がいた。学生時代、精神的に一番つらかったというこの実習をきっかけに、自身の就職先を具体的に考えるようになった。 「簡単には語れない背景を持つ子どもたちを温かく包み込みながら保育することに、強いやりがいを感じました。同時に、自分の今の能力ではとてもやりきれないことを痛感し、まずは一般的な保育園で経験を積むべきだと考えました」 就職先を選ぶにあたって莊埜さんが絶対に譲れないと考えたの尊敬する母親、あこがれの先生身近にあった2つの理想像迷いを率直に打ち明けて進むべき道が定まっていった迷いながらもつかんだ夢さらなる挑戦も視野に入れて『はじめてのおつかい』作:筒井頼子 絵:林明子 出版社:福音館書店1人で出かけたことがまだ一度もない、5歳のみいちゃん。ある日、赤ちゃんのために牛乳を買ってきてほしいとママに頼まれ、いつものお店をめざして出発するのですが……。隅々まで丁寧に描き込まれた絵の描写が楽しく、どのページも見飽きることがありません。40年以上も愛されつづけ、3世代にわたるファンも多い名作絵本です。私が選んだオススメ絵本先輩たちのホンネ 〜私たちがめざす保育士というシゴト〜31

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