マイナビ看護学生 就活BOOK2024
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看護師のキャリア構築でもウェルビーイングが注目される皆さんは、日本看護協会が公表している「看護職の倫理綱領」を読んだことがありますか。看護職の行動指針が考え抜かれた言葉で表現されており、私は初めて読んだときに感動したことを覚えています。2021年の改訂では、新たな用語が盛り込まれたことでも注目を集めましたが、その一つが「ウェルビーイング」(身体的、精神的、社会的に良好な状態であること)。看護職がより質の高い看護を行うためには、自身のウェルビーイングを守ることが不可欠であり、そのためにも個人と組織の両方がワークライフバランスやメンタルヘルスケアなどに取り組むべきと強調されています。こうした言葉が倫理綱領に盛り込まれたことからも、看護職の働き方があらためて見直される時期に来ていることが感じられます。就職活動でもこうした考え方は重要であり、ウェルビーイングは病院を選ぶ上で欠かせない視点の一つと言っても過言ではないでしょう。以前、ある30歳代の看護師さんが「退職してしばらく休みたい」と相談しに来たことがありました。その方は急性期病院でバリバリ活躍していたのですが、いつの間にか疲弊しきってしまい、精神的な余裕がなくなっていることに気付いたそうです。「私自身の人生を充実させないと、患者さんの幸せを心から願えない」という彼女の言葉は印象的で、PROFILE西鶴 智香(にしづる・ちか)株式会社キャリア・ポジション 代表取締役米国CCE,inc認定 GCDF-Japanキャリアカウンセラー国家資格キャリアコンサルタント1990年に愛媛大学法文学部卒業後、人材業界大手企業に就職。1998年にドラッグストアやチェーン薬局の人事·採用アドバイザーとして独立し、2004年に株式会社キャリア·ポジションを設立。薬剤師や看護師のキャリアカウンセリングをはじめ、転職支援、全国の病院·企業の人事採用教育関連アドバイス、社員研修などを提供している。2012年より関西の看護学部にて「キャリアデザイン」科目を担当。非常勤講師。新時代に活躍する看護学生に伝えたいキャリアデザインを踏まえた病院選びの視点とポイントText: Hitomi Nakazawa(Knowledge Ring) Photo: Takafumi Komatsu就職活動は人生の大きな節目ですが、内定を得てもゴールではなく、職業人生のスタートラインに立ったにすぎません。長期的な視点で看護師としてのキャリアを描き、自分にマッチした職場へたどり着くためには、どんな視点が必要なのでしょうか。長年にわたり看護師のキャリア開発に携わってきた西鶴智香さんに、看護学生ならではのキャリアデザインについて教えてもらいました。28

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