マイナビ看護学生 就活BOOK2024
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入職時のギャップを緩和して離職を防いでくれる要素は? 小学生のころ全身火傷を負って入院したという原体験から看護師をめざした私は、約25年にわたって臨床にどっぷり浸かり、スタッフとしても管理者としてもキャリアを積み重ねてきました。その後、経験を生かして独立し、看護師を対象にしたキャリアアップコンサルティングにも力を入れています。 昨今の転職事情をみると、人間関係、仕事内容・やりがい、給与条件などが転職の要因になりやすいと分かります(図1)。また、新型コロナウイルス感染症の影響は大きく、バーンアウトして休退職に追い込まれてしまうケースも少なくありません。新卒看護師について考えると、「ギャップ」に起因して問題が生じることが多い感覚です。今の時代は褒めて伸ばす教育が主流ですが、患者さんの健康や生命を左右する現場ではそうした手法が取りづらい場面も少なからずある上、指導を単なるのうにとらえてしまう新人も珍しくないうです。しかし、学校を卒業して「一人の看護師」として現場に立つ以上、激励にこたえるマインドセットは必須ではないでしょうか。 その前提として大切なのが、「知識や技術が一生モノの宝になる」と理解しておくことです。経験を積めば積むほど自分の力になり、看護師としての使命をりく遂行できる上、手に職を持つことで長く活躍し続けることができます。日々の指導で「自分の宝物」が増えていくうなイメージを持てば、入職時のギャップも乗り越えやすくなるはずです。 加えて、指導力やサポート力のある職場にめぐり会えるかどうかも看護師人生を左右します。私自身、新人時代はつらい思いをすることが多く、寮から出られず膝を抱えていたうな日もありました。同期と比べて身長が高かったこともあり、何をしても目立って怒られていた印象です。そうしたときの心の支えは、親身になってサポートしてくれた指導者の存在で、その人がいたからこそ頑張ることができました。就職活動においては、ぜひ職場全体のサポート体制が整っているかどうか確認してください。実習だけでなくインターンシップや見学会などの機会も活用し、職場の雰囲気、働く看護師の姿、どんなやり取りをしているかまで含めて、しっかりとチェックしておきましょう。PROFILE輿石光希­­­(こしいし・みゆき)ジョイン-ハンズ株式会社 代表看護師医療コンサルタント日本大学医学部附属看護専門学校を卒業後、大学病院5年、公立病院17年(33歳で病棟副看護師長、38歳で病棟師長)、急性期病院3年勤務(副看護部長として、病院新築移転、看護部の教育システム改善を実施)。2012年にジョイン-ハンズ株式会社を設立し、看護師・介護士・コメディカル教育、訪問看護ステーション設立・運営サポート、病院・クリニックの業務改善などに携わる。看護教員養成講習会、認定看護管理者セカンドレベル修了。失敗しない志望先選びの視点ファーストキャリアを着実に!Text: Hitomi Nakazawa(Knowledge Ring) Photo: Takafumi KomatsuIllust: Takahiro Nakanishi就職活動ではたくさんの医療機関の情報に接しますが、そこから志望先を絞り込むのは容易ではありません。どんな視点を持てば、自分に合った医療機関を選び取ることができるのでしょうか。看護師として豊富な臨床経験を持ち、現在は医療系コンサルティング会社を立ち上げて活躍する輿石光希さんに、自身の体験を踏まえた志望先選びのポイントについて教えてもらいました。38

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