「石の上にも三年」が看護界でも通用するワケ 看護師として知識・技術を順当に習得できるかどうかは、入職後、最初の3年間が大きな勝負だといえます。入職して1年目は、右も左も分からないのが当たり前。病院で働くこと自体に慣れる期間であり、先輩の背中を追いながら、見う見まねで看護業務を覚えて実践していく段階です。2年目になると、少しずつ腑に落ちる部分が増えていき、先輩の指導を受けても「こういうことか!」と納得できるうになっていきます。1年目に習得した知識師としての最初の3年間は、「ここだ!」と決めた職場で踏ん張ることがいかに重要か分かるでしょう。この期間に深い意図なく転職を繰り返すなどすれば、看護師としての基礎を身に付けることが難しくなります。また、「すぐに辞めてしまう人材では?」という不安を抱かれを広げていく段階だといえるでしょう。3年目になると、いい自分の考えで看護を実践できるうになっていきます。1~2年目の経験をもとに、「それならこうしてみう」と行動につなげられるうになるわけです(図2)。 このうに考えてみると、看護れば、その後の転職やキャリアアップでも障壁になりかねません。もちろん、心身を病むうなケースでは緊急避難が必要なこともありますが、キャリアを確立する上で「石の上にも三年」を心がけるのは、決して古い考えではないと私は思います。皆さんには、早々にミスマッチを起こして苦労しないう、考え抜いて志望先を選択してほしいです。 なお、看護師としてのキャリアが4年以上になると、スタッフを教育する側に回ったり、各種委員会に参加しながら看護研究に携わったりと、さらに可能性が広がっていきます。興味のある領域も明確になっていき、最初の3年間で基礎が固まっているからこそ、認定資格の取得を視野に入れるなど自分のテーマを深掘りしていけるイメージです。やがて管理職へとキャリアアップしていき、マネジメントに挑戦する人も少なくないでしょう。 私の場合、33歳で病棟副看護師長、38歳で病棟師長と、思いがけず早期に管理職を拝命することになりました。最近は管理職になることを好まない人も多いと聞きますが、山へ登らなければ見えてこない景色もあります。管理職は病院や病棟のカラーを決定付ける重要なキーパーソンであり、自分がやりたい理想の看護を実現するという意味でも、大きなチャンスを手にすることができます。大変なことがあるのも確かですが、個人的には「悩んだら挑戦する!」という気構えでいることを強くお勧めします。方向性を絞り込めないときは、将来的な選択肢を狭めないことを優先して図1図2転職を考え始めたきっかけ・理由 (複数回答)輿石さんが考える看護師のファーストキャリア人間関係に関する理由仕事内容・やりがいに関する理由給与条件(年収・月収・手当・賞与など)に関する理由勤務時間・勤務体系(交替制・オンコール回数など)に関する理由 残業時間に関する理由ライフスタイルの変化(結婚・出産など)に関する理由休日・休暇に関する理由勤務地・通勤距離に関する理由健康上の理由病院・施設が目指す方向性や目標に関する理由配属部署に関する理由家庭事情の変化(親の介護・看護など)に関する理由 研修・教育制度・スキルアップに関する理由福利厚生(寮・託児所など)に関する理由キャリアアップ・昇進制度に関する理由衛生・医療安全体制に関する理由その他1位3位4位5位6位7位8位9位10位11位13位15位12位14位16位2位41.7%40.6%38.0%27.8%16.7%21.6%19.0%12.2%11.8%7.0%23.3%14.0%11.9%7.5%7.7%5.6%8.0%出典/マイナビ看護師「看護師白書 2021年度版」 調査対象:マイナビ看護師登録会員調査方法:インターネットリサーチ 調査期間:2022年2月9日~5月9日 有効回収数:2,857転職のきっかけとして最も多くの人が挙げたのは、やはり人間関係。仕事内容・やりがい、給与条件についても、同じくらいの回答があった。こうした点を少しでも事前にチェックしておき、納得の上で入職できれば、早期の離職を防げるかもしれない。慣れる時期病院で働くこと、そして看護業務全般に慣れることに、まずは全力を注ぐ1年目広げる時期知識が蓄積されていき、「なぜこうするのか?」が腑に落ちるようになる2年目実践する時期自分の考えをもとに、根拠を持って看護を実践できるようになっていく3年目深める時期スタッフ教育や看護研究にもタッチしながら、興味のある領域を深めていく4年目〜39
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