長が覚えていてくださったことにも驚きました。スタッフ一人ひとりを大切にし、意思を尊重してくれる職場だと思えた一件でした。石井 残念ながら、初めのころに受けた2院からは不採用通知が舞い込みました……。これをきっかけに自身の看護観を見直し、「地域の高度急性期医療を支える病院で働きたい」という軸がはっきりしました。将来的に、病院と地域の懸け橋となって医療に貢献する看護師をめざして、新人のうちから地域密着の中核医療を経験したいと考えたのです。さまざまな症例に触れられる上、手厚い教育体制がある地元の病院を、あらためて第一志望としました。 最終的に決め手となったのは、病院の周辺や外来をそっと見学しに行ったときの印象です。外来看護師が患者さんに目線を合わせて話す様子を見て、忙しい業務のなかでも患者さんに寄り添う姿が心に残りました。準備を重ねてきたからこそ思いの丈をぶつけられたQ 就職試験に臨む上で、どんな準備をしましたか?石井 友人や先輩から、面接でどんな質問をされたか教えてもらい、一覧にして整理しました。それらに対する回答を用担当者の皆さんとのオンライン面接でした。といっても、病院説明会のときのような和気あいあいとした雰囲気で、あまり緊張することなく臨めました。説明会のときに私が伺ったことをベースに質問される項目が多く、いい意味で想定とは異なる面接でした。石井 私も内定先はオンライン面接で、看護師長と事務担当者のお二人とお話ししました。初めはとても緊張していたのですが、画面越しということもあってか圧迫感を感じにくく、徐々にリラックスできた気がします。ただ、やはり対面に比べると、ちょっとした音声のずれが気になりますね。そうした点に慣れるという意味でも、オンラインを想定した練習が必要かもしれません。新井 私の場合、内定先は対面での面接でした。会場には4つのブースがあり、それぞれ面接官が異なるのはもちろん、雰囲気や質問内容も大きく違うようでした。私が入ったブースには看護師長2人、管理職友人と練習したり、大学の先生に聞いていただいたりして、アドバイスをもとに調整していった感覚です。特に、実習で印象に残っていること、大変だったことは深掘りして聞かれる可能性が高いので、当時書きとめておいたメモが役立ちました。新井 私も同じような感じです。予想質問集のようなかたちでまとめたものに対して「ここだけは伝えたい!」というポイントを考えていきました。自分が作成したESをもとに質問されることも多いようだったので、突っ込まれそうなところを検討しておき、どう回答するかをコピーしたESに書き込んでいきました。土川 私は志望先が遠方(東北地方)だったので、気軽にOB/OG訪問するわけにもいかず、選考に関する情報を得ることが難しかったです。地元で働く友人に協力してもらい、志望先で働いている方にコンタクトしたほか、聞かれそうな質問を自分でも考えました。また、大学の先生にはオンライン面接の練習に何度も付き合っていただき、目線の動かし方などを研究しました。Q 面接に関して、当日の様子や印象に残っていることを教えてください。土川 看護部長、病棟師長、採1人がいらっしゃったのですが、かなり緊張感があって、回答に対して深く突っ込まれる場面も……。ドキドキしましたが、とにかく自分の思いを伝えようと必死でした。考え抜いて選んだ場所で自分らしい看護を表現したいQ 就職活動全体を振り返ってみて、何か反省点はありますか?新井 私は、説明会やインターンシップに参加するたび、「この病院いいな!」と目移りしてしまいがちでした。基本的に、選択肢を多く持つのはいいことだと思いますが、最終的な志望先を決めるとき大いに悩むことにもなりかねません。いいと思った病院をリストアップしておくだけでなく、どこに魅力を感じたのか具体的に考え、記録に残しておくべきだったと思います。石井 不採用通知を受け取ったときはショックで、気持ちを切り替えるのが非常に大変でした。落ち込んだ気分のま座 談 会患者さんを一人の生活者として尊重できる医療者にHaruka Arai51
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