292日本のリーディングカンパニー『がんばれ!!日本のモノづくり』をコーポレートメッセージに掲げ、2966社の仕入先(メーカー)、5527社の得意先(小売)のあいだに立ち、製造現場・建設現場などありとあらゆるモノづくり現場に必要不可欠なアイテムを即時に供給する。それが、“プロツール”商社トラスコ中山のビジネスだ。“プロツール”とは、機械工具・物流機器・環境安全用品などのMRO商材(工場用副資材)つまりモノづくりの現場が日々使用するものを指す。取り扱いアイテムは296万点。そのうち52万点以上は常に在庫を保有し、即時納品が可能な体制を整えている。一般的には、経営状態や事業の健全性を読む数字として在庫回転率が着目される。しかしそれは、“内向き”の視点ではないか、とトラスコ中山は考えている。同社は『在庫出荷率』、つまり、得意先からの注文のうちどれだけの割合を当社の在庫からお届けできたかを重視している。現状、その率は91%にものぼっている。トラスコ中山では、この在庫出荷率こそがサービスのバロメーターだと捉えている。なぜならこの率が高ければ高いほど、お客さまに即納ができた証しだからだ。半日製造ラインが止まるだけで、多額の損害が出てしまう製造現場ではこの即納こそが最大のサービスなのだ。そこに、全国のモノづくり現場では欠かせない存在の『トラスコ オレンジブック』、『トラスコ オレンジブック.Com』、全国に広がる物流機能とITの活用などを加え、トラスコ中山のビジネスモデルは日々お客さまの期待に応えているのだ。「『誰もが進む方向に成功の文字はない』。その信念を持ちつづけて当社は創業以来、独創的な発想で他社との差別化を図ってきました。業界の中では最後発で事業をスタートした私たちがここまで成長できたのは、この信念を持ちつづけ、そしてモノづくりのお役に立てる企業を目指しつづけた結果だと思います」気負った様子もなく語るのは、人事部の安栖さん。自分たちの事業と会社に対する誇りを、言葉の端々から感じることができる。適正かつ膨大な在庫を持つトラスコ中山。しかし、同社の強みは、その側面だけでは語りきれない。モノづくり業界の流通を担うトラスコ中山は、モノづくり現場に必要とされる商品をいち早くお届けするために、全国28カ所に大規模な物流センターを展開している。しかも、物流拠点は土地を含めて保有しているというから、驚くばかりだ。“持たざる経営”という言葉が注目されたのは十数年前。今も、その考え方は決して間違いではない。しかしトラスコ中山は、その正反対を行く。在庫も、拠点も、物流網も、それらをつなぐシステムすらも全て抱えている。そのことは事実上、取引先である数多くの企業の代わりに「抱えている」ことになる。ニーズがあれば即時に対応する、という物流の機常識にとらわれない発想で多くの企業との共栄に発展トラスコ中山独創的なビジネス戦略で成長しつづけ日本を支えるプロツールカンパニー最後発だからこそ確立できたビジネスモデル写真左上:建て替えが完了し2020年8月より稼動したプラネット南関東、右:トラスコ フィオリートビル(東京本社)。商社/商社(機械・プラント・環境)/株式公開
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