日本のリーディングカンパニー2024
408/582

408日本のリーディングカンパニー世界から飢餓と貧困を撲滅するためにフード業界の世界第1位企業を目指す●──「ゼンショー」という社名に込められた意味を教えてください。小川 1982年、横浜市鶴見区にゼンショーホールディングスの前身である株式会社ゼンショーを設立し、1号店は弁当店でした。その後数カ月で「すき家」のビルイン型店舗を開店しました。今の当社からは想像できないような小さな会社、小さな店舗です。まずは店舗の繁盛を祈って「全勝」。そして会社の原点として、善なる商売「善商」という意味を込めました。そして世界の人たちに私たちの精神性を理解してもらうために「禅」を意識しました。信仰というよりも考え方ですね。禅の心で行う商売としての「禅商」。この三つの思いを込めた社名です。●──1号店の「すき家」開店後、御社は破竹の勢いで成長・拡大してきました。この成功の要因は?小川 当社の売り上げ拡大をM&Aによるものと考える人もおられるようですが、それは違います。成長の大きな力となったのは紛れもなく「お店」です。直営店の新規出店を積極的に行った売り上げ増の方が圧倒的に大きいです。●──「すき家」「はま寿司」「ココス」などいずれも人気のお店です。優れた商品開発を支えているものは?小川 当社の場合は開発力だけではありません。それを支えるためのさまざまな仕事も一貫して自社で内包し、本当に品質の良いものをおいしく安全に召し上がっていただくためのシステムを持っています。それが「MMD(マス・マーチャンダイジング)システム」です。原材料の調達から製造・加工、物流、店舗における販売までをグループで一貫して企画・設計・運用しています。これによって①高品質な原材料を安定的に適正な価格で調達できます。そして②食材をグループ全体で調達・管理できることで、中間工程の無駄をなくし、何より途中で廃棄する食材を減らすことにもつながります。当社のこの「MMDシステム」を私たちは「食のインフラ」と捉えています。この「MMDシステム」によって当社は成長してきました。このシステムを全世界に展開していくことが私たちのミッションです。●──成長の要因にもなった「MMDシステム」を海外にも積極的に展開したい理由とは?小川 私たちの経営理念は「世界から飢餓と貧困を撲滅する」ことです。現在のこの瞬間にも6秒に1人の子どもが飢餓でなくなっているというデータがあります。この飢餓という危機は、日本に暮らす私たちにとっても決してひとごとではありません。現在、地球の人口は爆発的に増えています。2050年には97億人に達すると見込まれており、これだけ多くの人を従来の政治や経済のシステムだけで食べさせていくことはおそらく不可能でしょう。しかし危機が決定的なものになる前に、人類の英智を集結させて何らかの対策は打てるはずです。その一つとして当社が取り組んでいるゼンショーの成長・拡大を「食のインフラ」が支える飢餓と貧困を撲滅するその大きな課題に取り組む代表取締役会長兼社長小川 賢太郎1948年生まれ。82年にゼンショーを設立。国民生活産業・消費者団体連合会会長。日本チェーンストア協会副会長。「全力でやり切らないと、才能があるかどうかすら気付けない」。その思いでまい進し同社を成長・拡大させてきた。自宅の庭のバラ栽培や写真撮影で、あらためて自然から学ぶことも多いと語る小川会長兼社長。ゼンショーグループサービス・インフラ/外食・レストラン/株式公開

元のページ  ../index.html#408

このブックを見る