日本のリーディングカンパニー2024
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496エンジニアリング会社とはどのような会社か?この質問に答えるのは意外に難しい。「モノづくりのためのモノを作る会社」とか「プラントや工場を建設する会社」という答えが妥当なところだが、そのようにひとくくりにできないのもエンジニアリング会社の特徴といえるだろう。その端的な例が三菱ケミカルエンジニアリングかもしれない。三菱ケミカルエンジニアリングという社名から連想されることは二つ。一つは、三菱ケミカルと深い関係があるのだろうということ。そして、もう一つは、化学プラント建設を得意にしているのだろうということ。いずれも一面では正しいが、必ずしも同社の実態を適切に表しているとはいえない。同社は、1957年に三菱化成工業の保全工事部門が分離して設立された帆柱工業が起源。もともとメンテナンス部隊として発足している。その後、三菱レイヨンのエンジニアリング部門との統合などを経て、現在は三菱ケミカルグループのエンジニアリング機能を担う企業として、機能分社化されている。メーカーの一部門として出発しており、メーカーと協奏しながら事業を展開しているエンジニアリング会社だ。製造会社から独立したエンジニアリング会社の中には、親会社の仕事のみを担当する会社もあり、同社もグループ企業のエンジニアリングを担当することで技術やノウハウを蓄積してきたという点では、三菱ケミカルグループと密接な関係があることはいうまでもない。実際、売上構成比率を見ると、半分が三菱ケミカルグループ向けとなっている。しかし、あとの半分はまったく資本関係がない企業からの売り上げ、いわゆる「外販」が占めている。グループにとらわれない活動をしていることも、同社の特徴なのだ。グループ内と外販が半々という売上構成は、絶妙なバランスを保っているという見方もできる。外販を取り扱っていると、グループ内では得られないノウハウが蓄積されていき、その知見をグループ内に持ち帰ることも可能となる。そうすると、新たなものがグループ内に発生して相乗効果を生む。内と外とでスパイラルアップする仕組みができているのだ。同社は、社名に含まれる「ケミカル」という名称によってイメージが固定されるきらいがあるが、三菱ケミカルグループの一員として、化学、合成繊維、食品、医薬品、情報電子、物流システム、環境、エネルギーなど、さまざまな分野で高度なエンジニアリング力を発揮している。意外なところでは食品系に強みを発揮しており、1970年代から通算すると、1000件以上の食品関係の工場を建設している勘定だ。また、物流システムも得意。例えば、小売チェーンが惣菜を店舗で売るとき、どこかに調理をする工場を設けて、そこを拠点に配送することになる。そういった物流拠点の建設も多く手がけているの三菱ケミカルグループの総合エンジニアリング会社化学だけではなく食品や物流などにも強み日本のリーディングカンパニー三菱ケミカルエンジニアリンググループ企業内で培った技術をベースに「開発型エンジニアリング」で新境地を拓く化学、合成繊維、食品、医薬品、情報電子、物流システム、環境、エネルギーなど、多分野で高度なエンジニアリング力を発揮。メーカー/プラント・エンジニアリング

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