は意味がない。その点、山本さんを例に見ても、制度がしっかりと機能していることが分かる。「急な発熱など、子育てはどんなに頑張ってもコントロールできない部分があるので、たとえ制度が完璧に整っていても臨機応変な対応が不可欠です。その点において、当社はもともと業務効率化や情報共有の取り組みが進んでおり、これ以上ないほどの環境が整っているのではないかと感じています」今後は、小学校入学など育児が少し落ち着いたタイミングで、能力開発支援制度(社員の自己研鑽に対する費用補助を会社が行う制度)の利用も考えている。「もともとの専攻が食農領域ではなかったので、大学院に入ってさらに深く食農を学び、知見を広げ、新たな視点を身につけたいです」日本の企業がどのようにして女性の活躍を推進し、組織力を高めていくべきか。その答えを見事に体現した組織だと言えるだろう。たライフイベントに左右されることなく役割を全うできる。山本さんの昇格が2018年、産休に入る直前のタイミングだったという実例からも、昇格の際に重視されるのは将来のライフイベントではなく、積み重ねた実績や本人の能力であることが窺える。「私個人としても仕事を続けるつもりでしたし、身近に産前産後休暇から復職し、時短勤務をしている役職者などもいたので、大きな不安もなくごく自然な流れで産休に入ることができました」制度よりも、まわりの雰囲気づくりが重要同社では時短勤務をはじめ、リモートワークの導入や地方移住、介護休暇、キャリアデザイン休職など、多くの制度が整っている。政府主導の働き方改革などにおいて、提言を行う立場であることを考えれば当然であるが、いくら制度が整っていても絵に描いた餅で1 「リモートワークを利用し効率よく仕事と育児を両立できています」と山本さん。2 社員同士協力し合い、業務を推進する体制が整っている。3 企業主導型保育園の利用補助など社員の育児を支援する制度も充実。安心して育児も業務も全うできる。4 三菱総研50周年記念フォーラムで講演をする山本さん。研究成果を発信し、課題解決の道筋を示すのも大きなやりがいの一つだ。1243CHECK THE NAVI詳しい情報は本社所在地:東京都株式会社三菱総合研究所47
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