マイナビ看護学生就活BOOK2025
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いことに遭遇しながらも時折、笑顔を見せていただけると、嬉しい気持ちになります。また、その患者さまが伝えたいことが、くみ取れた時は、少し患者さまに近づけたのかなと思います。   森柗 そうですね。注意深く接していると、いつもと違った状態や気持ちが感じられるようになります。たとえば、同じ姿勢が続いて苦痛を感じていれば、こちらから感じ取って対処することができるようになります。それにより苦しさが取り除かれれば、患者さまは、新たな自発的行動がとれるようになるのです。   高野 はい。やはり、この仕事は取り組むほどに奥深く、まだまだ、分からないことがたくさん出てきそうです。その都度、実践を通して解決する力を養っていきたいと思います。担当病棟には、障がいが重く言葉を発することが困難な方もいらっしゃが、ここからが分かりません」と伝えるようにしています。   森柗 患者さまの状態を理解するためには、まず自分について理解することが大切です。自分はどうやって歩いているのか?バランスをとっているのか?それを知ることで、患者さまが抱えている症状との関連性も見えてくるわけですから。高野さんは日々、患者さまと向き合う上で、どんなことを心がけていますか。   高野 障がいがあるからと特別視するのでなく、私たちと同じ生活がおくれるようにしています。とにかく、一人の人間として生活が楽しめるよう、体調管理をしっかり行うことで外出を支援したり、屋内でできるイベントを企画して、楽しさを共有できるようにしています。   森柗 患者さまの中には、身体を動かせなかったり、見るのが苦手、聞くのが苦手とい   森柗 最近の学生さんは、コロナの影響で直接介助の実習の機会に恵まれなかったようです。また経験していたとしても、ほとんどが、会話ができる患者さまを対象としたものです。返答のない方への接し方は本当に難しいため、1年目の看護師には、必ず私が同行するようにしています。そして、まず私から声がけした上で、それを、どんなふうに患者さまが受け取っているのかなど、解説を加えながら対話をサポートするようにしています。   森柗 仕事をする中で疑問点が出てきた時は、どんなふうに解決していますか。   高野 まず、自分で調べられることは、できるだけ調べ尽くすようにしています。その上で「ここまでは分かったのですより豊かに生活できる環境を整えていく看護う人もいらっしゃいます。しかし、私たちにも近視や老眼の人が多くいるわけです。突き詰めていけば、その人が何をもって健康と感じているのか?というところに行き当たると思います。コミュニケーションが上手くとれない患者さまがいたとしても、それは、その方にとって苦手な分野と捉えること。そして、制約がある中でどうやって経験を重ね、ポジティブな方向に伸ばしていくことができるかを、看護の視点から考えていかなければなりませんね。   森柗 入職4年目で後輩の育成に携わるところだと思いますが、多忙な中にあっても、喜びを感じるのはどんな時ですか。   高野 患者さまとコミュニケーションをとる中、難し観察力を研ぎ澄まし患者さまの意思を読むいます。言葉以外のコミュニケーションからも、意思疎通が図れるようにしていきたいですね。   森柗 高野さんを見ていると、患者さまのことをよく知りたいという気持ちが、強く伝わってきます。笑顔や不安にさせない雰囲気が素晴らしく、患者さまが高野さんを見る目は、なんだかキラキラしているように見えますよ。当院の働きやすさについては、どんな印象を持っていますか。   高野 先輩方に相談しやすい雰囲気があるのが、なにより心強いですね。仕事に追われている時も、みんなで協力し合い、一緒に乗り越えていこうという考え方が浸透している職場です。   森柗 観察力が求められる仕事なので、周囲を慮る姿勢が自然に身につくのではないでしょうか。人が好きで、意欲的にチャレンジする人と共に、良い看護を実践していきたいですね。Profile一般病院を経て入職。2018年、看護大学の特別講師として重症児者看護に関する講座を担当。2023年、大学院に進学し、学業と仕事を両立している。Naomi Morimatsu学校で東京小児療育病院の担当者の話を聞き、その業務に興味を持つ。2022年からはNST褥瘡・皮膚トラブル対策チームのメンバーに加わり、さらに活動の場を拡大。Akane TakanoCHECK THE NAVIこの法人の詳しい情報は社会福祉法人鶴風会東京小児療育病院85

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