207日本のリーディングカンパニーTDKが創業したのは、今から88年前のこと。磁性材料であるフェライトを事業化した、現在でいう「大学発ベンチャー企業」としてのスタートだった。以来、TDKの技術力の根底にあるのは、原理原則を追求するピュアサイエンスと、事業を実現するための再現性確保というテクノロジーを、バランス良く併せ持つ研究開発への真摯(しんし)な姿勢だ。そうした「科学」と「技術」の融合は、5分野のコアテクノロジーを生み出し、ビジネスの領域を電子デバイスや電子部品へと拡大してきた。「素材技術」は、磁性材料や誘電体材料、半導体材料などの特性を原子レベルから追求する。素材技術と並んで、TDKの製品力の源泉となっている「プロセス技術」では、厚膜や薄膜、巻線、塗布などに力が注がれる。「製品設計技術」は、回路、IC内蔵基板、パッケージングなど各種電子部品を統合する役割を担う。「評価・シミュレーション技術」には、素材の分析や解析に加え、熱や電磁界のシミュレーション解析、ノイズの測定やその原因を探るEMC対策がある。また「生産技術」では、市場の変化にスピーディーに対応するために製造装置の強化や向上がはかられる。これらの技術が連鎖し合い、幅広い事業展開を可能にしているのだ。無限の可能性を持った社内のコアテクノロジーを自在に組み合わせることで、TDKはエレクトロニクスへの貢献をつづけている。例えば、希少で高価な資源からの脱却をはかるため、ジスプロシウムフリーのネオジム磁石を創出した。さらには、レアアースフリーにも取り組んでおり、磁性分野のパイオニア(※2)としてのその勢いは止まらない。これは、素材技術、プロセス技術、生産技術のチームが一体となり、いわばセクションの垣根を越えたクロスオーバーな取り組みがあったからこそ、実現したものだ。また、高周波特性に優れた薄膜インダクタ(コイル)は、HDD用磁気ヘッドで培われたナノレベルの薄膜プロセスの応用から誕生。現在ではスマートフォンの機能性向上に欠かすことのできない電子デバイスとして、存在価値を獲得している。さらに、タッチパネルなどに利用されるITO透明電極フィルムは、1970〜1980年代にカセットテープのメーカーとして一世を風靡(ふうび)していたTDKの磁気塗布技術が応用されたものだ。TDKのこうした成長を支えているのが、「仕事の前では、全員が平等」というモットーだ。この社風こそが、社員に持ってほしい心のあり方を示しており、新たな開発に挑んでいくモチベーションを生み出している。また、産前産後休暇や育児休業からの復職率が高く、子育てと仕事を両立しているエンジニアも少なくない。誰もがキャリアを重ねていくことができるさまざまな制度が活用されている。日々、飛躍的な進化をつづけているエレクトロニクス業界にあっては、固定された枠組みの中で最新の技術や市場のニーズをキャッチすることは難しい。TDKには「私がやります」と手を挙げた人材に任せる自由闊達(かったつ)な空気がある。失敗を恐れず、果敢にチャレンジすることのできる人材こそが、未来に新風を吹き込むことができるのだ。「科学」と「技術」を融合した5分野のコアテクノロジー社内技術のクロスオーバーが多彩な新製品を生み出す仕事の前では平等自由な社風TDK株式会社本社●〒103-6128東京都中央区日本橋二丁目5番1号日本橋高島屋三井ビルディングURL●https://www.tdk.com/ja/index.html/創業●1935年12月7日資本金●326億円(2023年3月期)従業員●単体 5,901名(2023年3月期)連結 102,908名(2023年3月期)売上高●2兆1,808億円(2023年3月期)事業内容●電子デバイス、電子部品の製造・販売スマートフォンの中にも、TDKの技術がギッシリ。社会インフラの実現にTDKのコアテクノロジーが貢献。※2:https://www.tdk.com/ja/ir/individual_investors/strength/st01.htmlDATA企業情報をチェック!気になったらで
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