新日本建設は、総合建設業でありながら不動産開発会社でもあるという二面性を有している企業である。象徴的な存在が“製販一貫”を標榜する自社独自マンションブランド・エクセレントシティ。土地の仕入れから設計、施工、販売、アフターサービスまですべてを自社及びグループ会社で手掛けており、既に270棟、15000戸超を供給するに至っている。何もかもを自分たちで完結させるには円滑な社内連携が鍵を握る。だからこそ、同社では役割の異なる社員全員がワンチームで物事を進める文化を育んできた。その結束力を最大限に発揮すべきプロジェクト「エクセレントシティ新松戸Ⅱ計画」を竣工させた。全3棟200戸を超えるマンションであり、施工管理者だけでも8名、毎日120名を超える職人が持てる技をふるい続けた結果だ。三原さんは入社5年目ながら、現場で躯体管理などを担当する。「社内でも話題になっていた現場でしたので噂には聞いていましたが、実際に携わってみるとあまりの規模の大きさに圧倒されました。かかわる人が多いだけに、時間や場所の状況を考え尽くした上で、効果的に作業を分担しないと過去最大級の案件を竣工終わるものも終わらず、試行錯誤する毎日を過ごしていました」情報化施工をいっそう前進させたプロジェクトでもあるという。タブレットPCを使って図面管理するのは当然のこと、職人の勤怠管理に顔認証システム、作業内容の連絡や調整に専用ソフトウェアを導入した。無駄な仕事を減らして現場の負担を減らし、残業時間等の問題を解消している。職場環境の面で、建設業界に新風を吹かせるのも同社が目指している領域である。三原さんが土木建築の世界を目指したのは東日本大震災がきっかけだったという。「私は山形の生まれなのですが、隣県の家々が津波で流される映像や仮設住宅で暮らしている人の姿を見て、誰もが安心できる住まいを作ることで社会貢献したいと思うようになりました」同社を選んだのは夏季インターンシップに参加したときに垣間見た千葉駅の西口の再開発現場が決め手となった。「ちょうど躯体工事が進んでいたところで参加しました。少しずつ建物の全貌が明らかになっていくワクワク感に魅了され、こんな案件に携わってみたいと思うようになりました。コンパクトな組織だからこそ、多角的に施工管理に住む人の声が聞こえてくるチャレンジできる点も魅力でした」入社後はエクセレントシティの新設現場をいくつか経験する。1年目でもチームの一員として、安全、工程、品質の管理に積極的に携わっていくのが同社のスタイル。無論、失敗をしてしまうこともあったが、上司が『今は失敗できる年齢だ。たくさん失敗をしろ』と背中を押してくれたのには勇気づけられた。「1年目では成功か失敗かどうかもわからないことが多いですが、上司は『これが失敗なんだと気づけるまで挑戦しろ』とも鼓舞してくれました。温かくて面倒見のいい先輩たちに囲まれながら、一歩ずつ前に進むことができました」完成後にはマンションを購入した家族の見学の場である内覧会にも参加した。製販一貫の事業を営む同社はエンドユーザーとの距離も非常に近いのである。「ある家族を案内した際、娘さんが新しい家のリビングを走り回り、奥さんがキッチンの様子を笑顔で眺めている姿を見て、苦労して作って本当によかったと思いました。使ってもらう人を見られるのは、当社で働く何よりの喜びです」松戸の現場に異動する直前の3か月ほどは亀有のエクセレントシティの新築工事にも携わっていた。この案件は全くのゼロからの所長を目指し自己研鑽スタートだったので、現場の下見や事務所の選定なども手掛けたほか、交通量の激しい道路沿いだけに行政との調整なども任された。「土木工事が始まると想定外の事態も発生し、回避方法を探るのには苦労しました。工事の形は千差万別で、確固たる正解は存在しません。職人さんと話し合いを重ね、丹念に情報を集めながら手探りで最適な方法を探すのは、難しいけれども面白いと感じました」人の命にかかわる住まいを作る以上、徹底して安全管理に努め、笑顔の家族を迎え入れるため、三原さんは気を引き締めて工事に臨んでいる。これからも積極的に現場を経験したいと考えているが、様々な分野にも携わることで、自分の幅を広げたいとも夢を描く。実際、教育施設、ホテル、商業施設、病院など、同社が抱える案件は多岐にわたっている。「目標は現場の最高責任者である所長になること。大型案件が多い当社ですが、実力があれば評価してくれるので、20代で所長になるのも夢ではありません。そのためには1級施工管理技士などの資格を取得するとともに、責任を持って現場に向き合う力も身に付けなくてはならないと思っています」施工管理という世界を極めるべく、三原さんは挑戦し続けていく。三原 諒さん工事統括本部第二工事本部 工事第一部PROFILE2020年入社。生産工学部環境安全工学科卒業。大学では土木や環境学を学ぶ。別分野を見て知見を広げようと卒業研究は自動車エンジンをテーマに選択。大学まで野球に熱中。仲間と試合を楽しんでいる。本社所在地:千葉県新日本建設株式会社CHECK THE NAVI詳しい情報は35
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