● 建設コンサルタント日水コン人を知る プロフェッショナルたちの肖像Portrait Of The Professionals子供のころから自然に興味があり、山や川で遊ぶことが好きだった石倉さん。大学院では流域の水の循環を研究する水文学を専攻した。日水コンへの入社を決めたのも、水に強みを持つ建設コンサルタントなら、自分の興味が活かせると考えたからだった。入社後に4年間ほど担当していたのはダムや湖沼などの水環境調思い通りにならない自然が相手だからこそ、やりがいがある査や水質改善対策の検討。当時は環境問題への関心が高かったのだ。しかし、数年前から課題は自然災害への対策へとトレンドが大きく変わった。石倉さんもそんなニーズの変化に対応する形で、治水関連の計画や浸水解析などの検討業務に携わるようになった。どのくらいの雨が降ると河川流域のどのあたりまで浸水し被害がでるかといった水害リスクをシミュレーションで解析し、整備計画などを立案する。自分が携わる仕事の重大さ、責任の重さを実感したのは、2019年10月、整備計画を担当していた茨城県の久慈川が決壊した時のことだ。「戦後最大洪水を想定して計画を立てたのですが、それをはるかに上回る流量になってしまった。そのため、新たな想定で、計画を練り直すことになったのです」石倉さんが取り組んだのは、洪水を河道内で抑えこもうとするのではなく、霞堤という、途切れた堤防をあえて活用し、計画的に水を川の外に逃がす流域治水対策だ。「河川は自然の営みによって形づくられていくもの。そこに住む動植物への影響に配慮することも大切ですし、5年、10年とたてば、土砂がたまって河床が変化したりもします。地域の暮らしや住民の皆様の意見もしっかりとくみ取りながら、治水計画を検討していきます」思い通りにならない自然が相手だから難しく、そこに一番のやりがいがあると石倉さんは言う。大学院時代は水文・水質調査のため、毎週のようにフィールドに出かけていたほか、山岳部にも所属。公私を通じて山や川に親しんできたことが、現在の仕事にもつながっている。石倉 俊さん河川事業部 東部河川部技術第2課PROFILE2012年入社。大学院国際流域環境科学特別教育プログラム修了。大学院で研究していたのは森林河川から流出する有機物の動態解析。森林水文学と呼ばれる森林の水の動きが環境に与える影響についての研究を行っていた。川の氾濫をシミュレーションし暮らしの安全を守る計画を立案ここ数年、毎年のように我が国を襲う「50年に一度」「100年に一度」と言われるレベルの強力な台風や豪雨。そうした自然災害に備えるため、河川の調査や解析を行い、治水対策を立案するのが石倉さんの仕事。自然が相手だけに、常に「想定外」との戦いになる。Portrait Of The Professionals本社所在地:東京都株式会社日水コンCHECK THE NAVI詳しい情報は89
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