も活用できるので、製造の形態が大きく変わると期待できます」その装置こそが高機能アライメントステーション『Litho Booster』だ。利根川さんが入社する少し前に初期バージョンがリリースされたが、改善の余地がある技術だけに、装置の計測精度向上を目指した技術研鑽に努めてきたという。2年目のとき、評価用号機を改造する案件では、利根川さんが開発と製造の間に立って調整役を担った。開発側で実現したいことが、製造現場で本当に形にできるのか︱若手の利根川さんだけでは判断できない物事も、経験豊富な現場社員の助言がきっかけとなって解決策にたどり着く場面もあった。多くの協力があってこそ、この仕事は成り立っていると感じる瞬間だった。学生時代の研究内容を鑑みると、利根川さんは半導体露光装置世の中にない技術に挑むを“使う側”に近かったと言える。ニコンの一員となり装置を“作る側”に回ったが、知識や経験に足りない部分はあったものの、懸命に挑戦を重ねた結果、今では機械的な知見も拡大し、計測データの変化を見て物理的な動きを楽しむ感覚も身に付いた。データ解析のためにプログラミング技術も習得し、技術者として新たな地平を開拓する充実感を覚えている。「装置の精度も格段に高まってきました。最新版のデータを見たお客さまが、『次世代の半導体を作る上での力になるかもしれない』と興味を持ってくださるケースも増えています。自分が手掛けた技術が、半導体の進化を描いたロードマップの実現に貢献できるのがやりがいとなっています」世の中になかった装置を形作る面白みを堪能し続けている利根川さん。これからも新しいモノづくりを通して、社会に大きなインパクトを与えたいと夢描いている。3124大学院ではシリコンを実際に加工していた。製造プロセスを想像できるのは仕事上の利点だそう。1電気や機械、物理などを得意とする同僚が集う。多様な背景を持つ人材が企業の価値を高めている。2開発と製造が密な関係を結んでいるおかげで、アイデアを迅速にアウトプットできる機会が多い。3ニコンの『Litho Booster』。利根川さんは今後もさらなる計測精度向上の実現に奔走する。4機械系活躍している先輩たちのフィールド数学・情報系電気・電子系高専本社所在地:東京都株式会社ニコンCHECK THE NAVI詳しい情報は57
元のページ ../index.html#59