薬学生のための就活準備ブック 2026
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今できる最大の範囲まで!目いっぱい想像力を膨らませて薬学生が就職活動で悩みやすい背景には、ちょっとしたカラクリがあります。そもそも医療系の学部は、特定の職業に就くことを前提とした職業学校としての要素があります。皆さんも、高校3年生の時点で「第一のキャリア選択」を行ったからこそ薬学部に在籍しているわけです。ところが、医学生や看護学生の多くが卒業後は臨床に入るのに対し、薬学生の進路は多岐にわたります。薬学の専門性を高めた上で、幅広いキャリアから自分の将来を選び取るというのは、魅力的であると同時に迷いも生じやすい状況だといえるでしょう。だからこそ、薬学生の就職活動は「なぜ、自分がここにいるのか?」を振り返ることから始めてみてください。薬学部へ進学するのは簡単なことではありません。熱い思いが根底にある人も、実は消去法で選んだという人も、何かしらの動機があったからこそ薬学部にいます。この機会に進学動機を整理することが、これから入職先を選んでいく上での指針になってくれるはずです。もう一つのポイントは、臨床との距離感を見定めることです。例えば、薬剤師として病院や薬局などで患者さんに関わる仕事と、製薬会社や行政などで携わる仕事には違いがあります。前者はいわゆる「医療人」であり、薬学生のためのキャリアデザイン“価値ある選択”をするためのヒントと心得Text: Hitomi Nakazawa(Knowledge Ring) Photo: Takafumi Komatsu Illustration: Takahiro Nakanishi「もっと学生時代から真剣に将来を考えておけばよかった……」と、社会に出てから後悔する薬学部出身者は珍しくありません。「今の自分」という存在を肯定的に受け止め、心から納得できる就職活動をするためには、どんな視点が必要なのでしょうか。薬剤師専門のキャリア支援会社を立ち上げ、長年にわたり「薬剤師を楽しもう」をキャッチフレーズに活動を続けてきた西鶴智香さんに、薬学生ならではのキャリアデザインについて教えてもらいました。PROFILE西鶴 智香(にしづる・ちか)株式会社キャリア・ポジション 代表取締役米国CCE,Inc認定 GCDF-Japanキャリアカウンセラーキャリアコンサルタント(国家資格)1990年に愛媛大学法文学部を卒業後、人材業界大手企業に就職。1998年にドラッグストアやチェーン薬局の人事・採用アドバイザーとして独立し、2004年に株式会社キャリア・ポジションを設立。薬剤師専門のキャリアカウンセリング、転職支援、全国の病院・薬局・ドラッグストアに人事採用教育関連アドバイス、社員研修などを提供している。18

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