自分の幸せより相手の幸せを願うような利他の心が求められる職業ともいえ、相応の覚悟が求められることはコロナ禍でも浮き彫りになりました。後者は、基本的には患者さんと接しないものの、より広範なターゲットを対象に人々の健康に貢献するイメージです。このように「患者さんとどのくらいの位置に立つか」という観点で考えると、自分が最も力を発揮できる職場を見つけやすくなります。しかし、自分の将来像を思い描くにしても、この変化の激しい時代、数十年先のことまで見通すのは難しいもの。実際のキャリアデザインでも、自分の思ったように物事が進められないケースは少なくありません。だからといって、あきらめて思考を停止してはなりません。今の自分ができる範囲で、たとえ向こう数年でもかまわないので、最大射程まで想像力を広げてみましょう。「子どもに働く楽しさを教えられる母親になりたい」など、プライベートのことを含めてもOKです。若くて大きな可能性を秘めた今だからこそ、楽しく「妄想」を膨らませてみませんか?自己肯定感と自己効力感を高めるシンプル&効果的な方法最近、ある薬学生から「授業や研究室で皆と違う意見を出すと、面倒臭い人と思われるような雰囲気があります」と聞いて、私は非常に残念に思いました。皆さんも、他人と比です。キャリアデザインにおいても「正解」や「間違い」は存在せず、誰かとの比較を通してキャリアを求めても意味がありません。皆さんのキャリアは自分だけのものであり、「自分にとってその選択に価値があるべて異質でないこと、周囲から正しいと思われることに、こだわりすぎていないでしょうか。異論も受け入れながら議論を深めていくことは、社会で求められる能力の一つ。また、特に医療人であれば、他者の個別性や多様性への理解が必須になるはずか」がすべてです。「最初に病院に就職するのが正解ですよね?」と薬学生から質問されることがありますが、そうしたキャリア選択は賢いように見えて、実際は自分なりの幸せへの遠回りになっている可能性もあります。就職活動を始めるにあたっては、この「正解思考」から抜け出すことを心がけてください。多様性を受け入れることは、自己と他者の違いを理解し、長所に焦点を当てることでもあります。結果的に、キャリア選択の際に大切な「自己肯定感」を高めることにもつながると覚えておきましょう。もし、自分に自信が持てないと悩んでいるなら、自己肯定感を高めるワーク(表1)をやってみてください。物事のとらえ方には誰しもクセがあるものですが、ネガティブな側面に目が行きやすい人も、トレーニング次第でポジティブ思考が可能になっていきます。自分のことを肯定的に思える心の状態は、人間が成長したり能力を発揮したりするために重要な要素です。後ろ向きな気持ちになってしまったときは、自分の力で変えられない「他人と過去」ではなく、自分の力で変えられる「自分と未来」にエネルギーを注ぐことをキャリアデザインに「正解」や「間違い」なんて存在しない表1自己肯定感を高めるワークそれぞれの言葉を、ネガティブ/ポジティブな表現に言い換えてみよう。(ヒント)まじめ→責任感がある、誠実、柔軟性がない、人に頼れない……など。STEP1ネガティブ表現 (-)まじめ繊細慎重独身引っ越しポジティブ表現 (+)自分がどんな人間なのか、「ポジティブな表現」を意識して、3つの文章にしてみよう。(ヒント)私は、一度決めたら最後までやりきる性格……など。STEP2私は、1。私は、2。私は、3。あなたの、多少なりとも「自信のあること」を挙げてみよう。 一番でなくても、「少し自信があるかな」と思うことで大丈夫。そのことが今までのどんな経験・体験につながっているのかまとめてみよう。STEP4私は、に(少し)自信があります。私の(わりと)得意なことはです。次の文章に続くかたちで、「今の自分」を徹底的に褒めてみよう。(ヒント)毎日頑張っている自分や、性格の良いところに注目!STEP3〇〇さん(自分の名前)、あなたは。19
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