薬学生のための就活準備ブック 2026
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メンバーの一員として、啓発イベントの企画・実施、患者の友の会活動などに取り組んでいる。その中で、医療スタッフの連携から学ぶことも多いという。「例えば、薬剤部と検査部が協力して新しい血糖値測定器を導入したり、医師の要望をもとにより良い運用法を検討したり。他職種と関わり情報を共有することで、多彩な視点が身に付きます」多くの現場経験、院内活動を通して糖尿病患者のサポートに尽力する桒原さんだが、もともと糖尿病を自身の専門にしようと考えていたわけではなかったという。資格を取得したのも、上司の依頼で糖尿病教室を手伝ったことがきっかけだったとか。「当時は知識がなく、患者さまの方が詳しいほどでした。そこで勉強のために参加した糖尿病講習会がチーム医療の中核を担う病棟薬剤師の存在感日本糖尿病療養指導士の資格を持つ桒原さんは、病棟業務、服薬指導を通して、糖尿病患者のサポートに取り組んでいる。糖代謝異常、脂質異常や高血圧症などの治療に取り組む糖尿病・内分泌内科はもちろん、血液内科にも対象となる患者は多い。化学療法ではステロイドが含まれるレジメンが多く、血糖コントロールが必要だという。また整形外糖尿病治療における生活指導のエキスパート資格取得につながりました」取得後も、更新のために知識のアップデートは不可欠。学会への参加、講座受講などを続けているうちに興味は多分野に広がっていったそうだ。「認定・専門薬剤師をめざすうえで人気なのは、化学療法の分野だと思います。でも、日本糖尿病療養指導士はどの診療科にも関わることができるうえに、当院全体で力を入れている領域のため活躍の幅は広がるはず」と桒原さん。今後、後輩の道筋をつくるためにも、自身の学びをさらに深めていきたいと話してくれた。「病棟薬剤師が自ら動く」。それが、山口県立総合医療センターの薬剤部の基本方針。病棟での薬剤師の存在感は大きく、医師や看護師から頼りにされる場面も多いそうだ。身に付けた専門性を発揮し、チーム医療の中核を担う。そんな活躍の道が、ここから開けていく。科病棟でも、手術中に血糖値が大きく変動することによる合併症や術後の創部感染のリスクを抑えるため、術前の血糖コントロールを行う。糖尿病の治療中、またハイリスクな患者へのアプローチでポイントになるのは、メンタル面での支えだという。「糖尿病治療や予防のベースは食事。生活習慣を変えること、さらにそれを続けることはとても難しいですが、血糖コントロールの重要性を理解していただけるよう、丁寧な説明を心がけています」その大切な機会のひとつが、週1回の「糖尿病教室」。入院患者を対象に、病気の仕組みや治療についてレクチャーしている。近年、山口県立総合医療センターでは、病院全体で糖尿病サポートに力を入れている。医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、臨床検査技師などから成る糖尿病サポートチームを結成し、桒原さんも自分の専門を見つけ、伸ばしていける環境。薬剤師同士でもお互いの専門性を生かして連携し、より良い医療につなげている。地域の中核病院として多彩な高度医療を実践する山口県立総合医療センター。近年、糖尿病治療に力を入れており、ここで日本糖尿病療養指導士として活躍するのが、薬剤師の桒原さんだ。複数の病棟を担当し、血糖コントロールが必要な患者をサポート。さらに、糖尿病サポートチームの一員としても尽力する桒原さんの仕事ぶりに密着した。糖尿病治療の現場に立ち患者の健康を守るJob of a ProfessionalProfessionalCHECK THE NAVI詳しい情報は地方独立行政法人山口県立病院機構59

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