DXに乗り遅れたときのリスクは大きい 限られた医療資源の価値をどのように最大化して、より多くの人々を効率よく救えるか――。その答えの一つであり、近年注目を集めている概念がDXです。皆さんご存じかと思いますが、トランスフォーメーションとは「変質・変革」を指す言葉。つまりDXは、デジタル技術(いわゆるICT)を導入することによって、人々の生活を変革することを意味します。薬局業界に当てはめるなら、「デジタル化の推進で薬剤師の働き方、患者さんや地域医療への関わり方を変革すること」と言い換えられるでしょう。具体的には、図1のような姿がイメージされています。 調剤薬局や薬剤師にDXが必要な理由は、冒頭の一言に集約されています。少子高齢化が顕著であり、生産年齢人口が減少し続けている今の日本で、従来の在り方に固執していては医療現場が破綻してしまうかもしれません。薬局業界も例外ではなく、この変革を進めなくては淘汰されかねない時代が訪れています。経営的な側面からも、臨床的な側面からも、DXに背を向ければリスクが発生することは明らかです。 まずは、経営的なリスクから考デジタル・トランスフォーメーションDX調剤薬局の「常識」を塗り替えるDXのエッセンス株式会社カケハシ 代表取締役社長武田薬品工業株式会社でMRとして勤務後、2016年3月に株式会社カケハシを創業し、医療関連サービスを開発・提供。経済産業省主催のジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2019でビジネスコンテスト部門グランプリ獲得。内閣府主催の未来投資会議 産官協議会「次世代ヘルスケア」にも有識者として招聘されている。https://www.kakehashi.life/Profile中尾 豊(なかお・ゆたか)DX基礎講座薬学生のための近年、さまざまな領域で聞かれるようになったDX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉。薬剤師にとっても非常に重要なテーマですが、「何だか難しそう」「結局、何がどう変わるの?」と不安や疑問を抱いている薬学生も少なくないでしょう。薬局体験アシスタントMusubi(ムスビ)などのサービスを展開する株式会社カケハシで代表取締役社長を務める中尾豊さんに、調剤薬局・薬剤師に関わるDXの影響について、かみ砕いて説明してもらいました。ITツールの導入デジタルデータ・デジタル技術の活用デジタル化(≒IT化)組織の変革(業務改革・働き方改革など)ビジネスモデルの変革(ビジネスモデルの転換・修正など)トランスフォーメーション(変化)デジタル化(IT化)は、これまでの業務プロセスなどを効率化し生産性の向上を図るものであるのに対し、DXは、ITを含むデジタル技術を活用し、組織やビジネス、社会の仕組みを変え、新しい価値を生み出すことを意味している。DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?※出典/中小企業庁「ミラサポplus」より(https://mirasapo-plus.go.jp/hint/15869/)※INTERVIEW WITHYUTAKA NAKAO22
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