調剤薬局全国に張り巡らされた“薬局網”は、調剤薬局が医薬分業の拠点として地域医療に深く根差していることの表れだといえる。業界研究2GYOKAI KENKYU PHARMACYPTP包装シートなどをカットするため必須。白衣のポケットに入れておくなら、刃先が丸く加工されているかガード付きだと安心。うっかり申告し忘れる患者さんも多いため、「あやしい」と感じたときの確認にはついつい力が入ってしまう。必須アイテム定番フレーズ(医療用)ハサミ「別のお薬、飲んでいませんか?」 調剤薬局は全国津々浦々に建ち並び、「コンビニより数が多い」という話は有名だ。個人経営による単独店舗と企業経営によるチェーン店舗を比べると、近年では特に後者の勢いが盛んで、立地の良い場所に次々と展開していく様子がうかがえる。医療提供施設であると同時に、市場での厳しい競争にさらされる側面もあるわけだ。 調剤薬局のほとんどは保険適用の医療用医薬品を扱う保険薬局で、複数施設の処方箋を受け付けて調剤を行うことが多い。利便性が高い駅前などの調剤薬局では「どこの医療施設の処方箋も受け付けます」とするケースが普通で、このような調剤薬局のあり方は「面分業薬局」と呼ばれる。一方、病院の周辺に位置する「門前薬局」では、その病院の処方箋を扱う比率が高くなる。多くの診療科を擁する病院であれば、さまざまな症例に対する処方の実際に接して知見を深められるだろう。 近年の診療報酬改定の動向をみると、門前薬局や大型チェーン薬局に対して調剤基本料を引き下げるなど厳しい内容で、不採算店舗を整理する流れが顕著になっていくかもしれない。こうした改定の意図は、大量の処方箋をさばくことより、地域医療に対する貢献度を評価することにあると考えられる。また、調剤薬局が6万件を超え、医薬分業率が頭打ちになりつつある状況もあり、さらなる新規開店は次第に難しくなってきている。大企業を中心に、M&A(企業の合併・買収)で規模を拡大する流れもあると知っておこう。 地域医療の充実が喫緊の課題となるなかで、薬局薬剤師一人ひとりが「街のかかりつけ薬剤師」としての意識を持たなければならない。その結果として地域の信頼を勝ち取り、地域に根付いた薬局が生き残っていくだろう。また、今後は調剤やピッキング業務の機械化、在庫管理における人工知能の活用が進むと考えられる。こうした作業にかかる時間や労力が削減される代わりに、薬剤師はより対人業務に注力することを求められるようになるだろう。薬剤師による在宅対応もますます本格化していくはずだ。医療従事者として人を相手にするという、当たり前の意識を再確認したい。かかりつけ薬剤師の対人業務がカギ働き方WORK「地域への貢献」が高く評価される時代に業界のこれからFUTUREコンビニより多い薬局厳しい生存競争の側面も業界の今NOW地域包括ケアシステムの一端を担う気概あり! 特に対人業務に注力しながら、地域の医療ニーズに沿ったサービスを提供する。地域を支える身近な医療従事者に価値観「薬を渡すだけなのに待たせすぎ!」などと言われても心は折れない。「安全な薬物治療に貢献している」という誇りが支えだ。患者さんの「誤解」に負けないメンタル素質処方箋の傾向により、詳しくなる薬剤や領域に差が生じる。店舗の調剤棚をつぶさに把握すれば、ピッキング作業もスピードアップ。「その店舗ならでは」の知見を身に付けていく知識事前に要点をまとめる、代替案を用意する、言葉遣いに配慮するなど、医師と円滑にやり取りする方法を習得している。疑義照会でも物を言うコミュニケーション力スキル患者さんと直接関わる時間が長く、信頼関係を構築していくことに喜びを感じる。在宅医療に携わり、居宅を訪問する場合も。かかりつけ薬剤師として患者さんに関わりたいモチベーションかかりつけ薬局・薬剤師として24時間対応をするため、夜勤やオンコールを担当することも。気力・体力は欠かせない。地域のかかりつけとして24時間対応にも備える体力体心技55
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