面が広がりそうだ。自分とは異なる立場の人、薬剤師以外の専門性を持った人と話す機会が増えるため、学生時代のうちからコミュニケーション能力に磨きをかけておきたい。 なお、2022年度改定で導入されたリフィル処方箋も、連携という観点からとらえることができる。病状が安定している患者について、薬剤師による服薬管理下で一定期間内に処方箋を反復利用できる仕組みだが、薬剤師が次回調剤予定日を確認したり、継続的なフォローアップをする必要がある。かなければならないだろう。 また、他施設・他職種との細やかな連携が求められる点にも注目したい。例えば、患者の入院時における情報提供(薬局から病院などへ)や、持参薬の整理が新たに評価されるようになった。また、退院時カンファレンスを評価する点数について、ビデオ通話での共同指導を行うだけでも算定可能になった。医療機関のカンファレンスに参加する職種として薬剤師が含まれるようになったこともあり、従来以上に薬剤師が他施設・他職種と連携する場その中で処方医への情報提供は当然に重要であり、リフィルの際に別の薬局を利用する患者がいれば薬局同士の連携も欠かせない。臆せず他者と関わる姿勢が求められるだろう。 もう一点、意識しておきたいのがオンライン化の推進だ。マイナンバーカードなどを通した患者情報(薬剤情報や特定健診情報など)の入手・活用が評価されるようになり、皆さんが社会に出るころには、医療機関で顔認証付きバーコードリーダーが当たり前の存在になっていると予想される。話題のオンライン服薬指導についても、様々な要件が緩和され、普及が進んでいる。外来診療はもちろん、在宅療養中の患者に対してもオンライン服薬指導の裾野が広がりつつあり、今後はモニタを通した対話能力を磨くことも大切になるだろう。 全体として、これらの改定は、近々での実現がめざされる地域包括ケアシステムの構築をいっそう推進し、そのために求められる薬局・薬剤師の役割を明確化したものだといえる。こうした傾向は2024年度改定においても継続している部分があり、今後の動きを注視しておきたい。これからの時代に活躍できる薬剤師であるために、就活中の今から意識して情報を入手しておこう。2年に一度のペースで改定される調剤報酬は、薬剤師業界を大きく左右する。その中身を知っておけば、今後の日本でどのような薬局・薬剤師が求められるか、きっと見えてくるはずだ。ここでは、大きな動きがあった2022年度改定に関して、4つの視点から未来を読み解いていこう。 薬剤師業務は オンライン化推進の流れ 今後もさらに加速する 未来を読み解く4つの視点地域での機能を果たす薬局に高い評価ポリファーマシー対策や在宅薬剤管理などの面で、地域における貢献度の高い薬局は、より高い評価を得られる仕組みになった。地道な取り組みを着実に重ね、地域の信頼を獲得する心がけが、従来以上に必要になってくるだろう。2視点現場で「オンライン」の活用が進むITを基盤とした医療システムの構築が推進され、オンライン服薬指導も急速に普及し始めている。患者にとっては場所や時間にとらわれない利用が可能となって便利だが、薬局側にとっては「地の利」を生かしづらい環境になる可能性もある。4視点評価の比重を対物業務から対人業務へ薬剤のピッキングをはじめとする「対物業務」から、服薬指導などの「対人業務」へ、薬局・薬剤師に対する評価の比重が移り変わりつつある。「物を相手に仕事するのではなく、人を相手に仕事する」という意識を持っておきたい。1視点他施設・他職種との連携をさらに推進入退院時支援やリフィル処方箋の運用などにおいて、他施設・他職種と従来以上に細やかな連携を図ることが期待される。他施設・他職種を含め、広い意味で地域医療に貢献するチームの一員であることを意識し、その中での振る舞い方を考えたい。3視点41
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