医師にフィードバックすることで、より良い薬物治療が実現されます。調剤薬局の外来業務ではもちろん、在宅の現場、病院、ドラッグストアなどでもFAFの流れを意識すべきでしょう。 こうしたことができる能力を磨くためには、机に向かってテキストにかじりつく、学生時代のような勉強スタイルでは不十分。やはり、現場で経験を積むことが何よりの勉強になります。逆にいえば、FAFの流れを経験できる現場に立たなければ、FAFのスキルを高めることは非常に困難です。想像してみてください。医師の往診に同行しようと薬剤師の役割は大きく変化・拡大していきます。 こうした背景があるからこそ、就活準備を始める薬学生の皆さんには「過去を参考にするな!」とお伝えしたいです。変革期を迎えているからこそ、「今まではこうだった」「先輩はああ言っていた」といった過去の情報ばかりに頼っていると、かえって真実を見失ってしまうかもしれません。新卒で入社/入職した法人が時流に取り残され、経営が厳しくなっていくようなことは、誰だって避けたいですよね。従来の常識に固執するのではなく、未来を見据えて変化に対応できる法人を見つけることが、これからは特に重要になっていきます。FAFのスキルを身に付けるため「修行」できる職場を見つけて それでは、薬剤師に求められる対人業務とは、具体的にどんなことを指すのでしょうか。私は、FAF(Follow, Assessment, Feedback)が大切だと考えています。服薬状況、服用後の体調変化、効果や副作用の有無などを確認したら、薬学的専門性に基づいたアセスメントを行います。単に「服薬できている/できていない」「副作用が出ている/出ていない」とチェック項目を埋めていくのではなく、なぜそうなったのかを専門家として検討することが肝心です。そうして得られた情報を1 指示書を用いながら、薬局パートナー(左・青いウェア)に作業内容を説明するハザマ薬局の薬剤師(右・白いウェア)。2 薬剤師と薬局パートナーが一丸となり、チームとして患者さんを支えるため、綿密な情報共有が欠かせない。3 散剤分包機は薬剤師のみだが、錠剤の分包機は薬局パートナーも扱っている。4 専用端末を使って、薬局パートナーが丁寧かつ迅速にピッキング。もちろん、最終確認を行うのは薬剤師だ。1324Assessment薬学的専門性の発揮Feedback処方の適正化医療機関診察・処方Follow服用後のフォロー薬局疑義照会調剤・服薬指導対人対物FAFの流れ/「服薬後のフォロー」「薬学的アセスメント」「医師へのフィードバック」などを通して、患者さんに薬を出した「後」にまで目配りすることが、これからの薬剤師には強く求められている。こうした対人業務で力を発揮できる職場を見出すことが、法人選びにおける一つのポイントになりそうだ。59
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