薬学生のためのインターンシップ&キャリアガイド 夏号2027
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ドラッグストア病気を抱える人はもちろん、健康な人にもおなじみのドラッグストア。セルフメディケーションを推進する流れのなかで、薬剤師の貢献が期待されている。業界研究3GYOKAI KENKYU DRUG STOREお客さまの動線を踏まえた陳列、時代や季節ごとに移りかわるニーズなど、小売業ならではの視点やノウハウを習得していく。小売業としての視点や考え方が養われる知識医療の知識がバックボーンにあることを生かし、「根拠のある提案」でお客さまに満足してもらうことに喜びを感じるタイプ。「お客さまのために」がすべての行動原理に素質セルフメディケーションを支える医療従事者でありつつ、医薬品に限らず多様な商品を扱う販売職としてのマインドを併せ持つ。医療従事者の視点を持つビジネスパーソンに価値観病気を抱える人はもちろん、健康な人も多く店舗を利用する。幅広い客層に対し、健康自己管理の意義や方法を伝えていきたい。幅広い対象者の「元気な毎日」を支えるモチベーション魅力的な売り場づくりはもちろん、OTC医薬品を含めた医学的な知識も更新し、信頼されるスタッフであろうと努力している。選ばれる店舗づくりを常日ごろから追求スキル営業時間、定休日の有無や日数、スタッフ数などにより労働環境が大きく異なり、必要とされる体力の程度にも違いが生まれる。企業や店舗により忙しさは千差万別体力体一日に何度も段ボールを開封するため、カッターは常に携帯。必要な文具類をウエストポーチなどにまとめて持ち歩く人も多い。医薬品コーナーで悩んでいるお客さまを見たら迷わず声かけ。栄養学の知識を生かし、サプリや食品など+αの提案をすることも。必須アイテム定番フレーズ(段ボール用)カッター「何かお困りですか?」技心 ドラッグストアの定義は、実は明確ではない。日本チェーンドラッグストア協会は、「医薬品と化粧品、そして、日用家庭用品、文房具、フィルム、食品などの日用雑貨を取り扱うお店」「健康で美しく、しかも日々の生活に欠かせないさまざまな商品を置いている」と説明している。元はアメリカで始まった業態で、日本で展開されるようになったのは40年以上前から。同協会の調査によると、売上規模は9兆円を超えるとされている(2023年)。 経済産業省の統計(商業動態月報)によると、現在のところ、ドラッグストアの販売構成はOTC医薬品と調剤医薬品とを合わせても2割程度でしかなく、食品や日用品の占める割合が高くなっている。これらの商品を安く販売することで利用者を呼び込み、利幅の大きい医薬品にも手を伸ばしてもらうのがドラッグストアの基本戦略だといわれている。 従来型のドラッグストアはOTC医薬品を中心に販売してきたが、医薬分業の進展に伴い、保険指定を受けて保険調剤を行う「調剤併設型ドラッグストア」も増えてきた。ドラッグストアと調剤薬局との垣根が低くなりつつあることを意味し、販売構成割合における調剤医薬品の割合はさらに増えていくかもしれない。また、近年では数百坪規模の売り場面積を持つ「メガドラッグストア」が数を増やしていることも注目に値する。 2017年にセルフメディケーション税制が導入されたこともあり、国民はOTC医薬品や健康食品などを通した健康増進や疾病予防に目を向けるようになっている。地域で日常的に住民と接点を持ちうるドラッグストアが、健康に関するキーステーションとして機能することが期待されている。 ドラッグストアという業態では、薬剤師にも小売業としてのマインドが求められる。例えば、売上を高めるためのマーケティングや接遇のレベルアップなど、お客さま目線で考えるべきことは山ほどある。若いうちから店長やエリアマネージャーなどを任され、大きな裁量権を持つことも珍しくないので、そうした立場から地域医療に貢献したいという人なら、大きなやりがいを感じられるだろう。調剤併設型も増え健康自己管理の拠点に業界のこれからFUTURE薬剤師でありながら小売業のマインドも働き方WORK大型化や多店舗化が進み生活に欠かせない存在へ業界の今NOW76

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