製薬会社(MR)MRは、高度な専門性とコミュニケーション能力を備え、製薬会社と医療現場をつなぐ。薬剤師が活躍する余地は大きい。業界研究5 医薬品というリスクを内包した製品を医療現場へ供給し、安全に使われるようにするためには、単に売上拡大を追求する営業パーソンではなく、医薬情報担当者(MR:Medical Representative)の存在が欠かせない。MRは医薬品の価格交渉に関与することが禁じられており、製品納入や代金回収も医薬品卸を介して行うため、一般的な営業活動とは様相を異にする。具体的には、医療施設に自社薬を中心とした医薬情報を提供してその適正な使用と普及を図ること、使用された医薬品の有効性情報や安全性情報を医療現場から収集して自社に報告することなどが主な業務となる。 基本的には営業職である以上、営業目標の達成をめざすことは当然だが、人々の健康に資する製薬会社の一員として社会のニーズに応える責務も負っている。利益なくして会社は成り立たないが、同時に社会的信頼も欠かすことはできず、バランスの取れた活動をすることがMRの本分だ。 従来は、地域別・施設別に担当が決まることが多かったが、最近では「ジェネラル型」(自社製品すべてを取り扱う)や「専門領域型」(がんなど専門性の高い分野に特化する)としてMRを採用する企業も増えてきている。 また、コントラクトMRという派遣型のMRもニーズが高まってきている。CSO(Contract Sales Organization)と呼ばれる医薬品販売受託会社から派遣されるもので、主に製薬会社のMRの欠員補充、特定の分野に強いMRを補強するといった役割を担っている。アウトソーシング化の波がMR業界にも押し寄せてきたともいえ、そうした時代に生き残るための戦略も必要となりそうだ。 かつては製薬会社の熾烈なシェア争いのなかでMRの医師に対する接待攻勢や利益供与が問題となったが、現在では業界の自主ルールにより、こうした営業活動は一切禁止されている。また、医師へのコンタクトは完全アポイント制となり、システムを通して面会申請をすることが増えている。新時代のMRには、こうした環境変化に対応しつつニーズに応える戦略を立て、信頼をつかむことが求められている。接待や利益供与は禁止医師への接触も抑制的に働き方WORK健康に資する製品の営業担当者として存在感業界の今NOWあり方が多様化するMRアウトソーシングも進む業界のこれからFUTUREあちこちの医療機関を訪問し、荷物も多いMRにとって車は欠かせない移動手段。最初は不慣れだった運転も軽々こなすようになる。多忙な医師に対して、自社製剤の魅力を端的に説明するのはお手のもの。相手の好みや反応に応じてたとえ話などを駆使することも。必須アイテム定番フレーズ車の免許証&キー「この薬剤は○○がすごいんです!」医薬品を扱うに足る矜持と誠実さを根底に持ちながら、製薬会社と臨床をつなぐ架け橋として間接的に薬物治療を支える。より安全かつ効果的に!薬物治療を裏から支える価値観営業職ならではの度胸と、自社製剤をアピールする熱意は誰にも負けない。相手がそっけない態度でも、粘り強く交渉する。塩対応な相手にも食らいつくパワフルさ素質担当する医療機関や地域、疾患領域への理解が深まっていく。他社の製品や動向も含めた最新情報を、常に収集することは忘れない。担当領域を中心に情報を更新し続ける知識収集した情報を分かりやすく資料にまとめる力に加え、面会や説明会で自社製剤について伝えるプレゼン能力が鍛えられる。ベストの資料作り&プレゼンを徹底追求スキル自らの裁量で仕事を進めながら売上目標の達成をめざすと同時に、現場からのフィードバックをよりよい製品開発に生かす意識も。目標達成に燃えながら現場の声に耳を傾けるモチベーション先方の都合に合わせなければならない場面も多く、サッと予定を組み替えてフットワーク軽く動くことが必要。体力も大切な武器に。「○時なら面会OK」へ柔軟に対応する体力体心技GYOKAI KENKYU MEDICAL REPRESENTATIVE78
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