薬学生のためのインターンシップ&キャリアガイド 夏号2027
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現代の治験において「大前提」となるGCPはもちろん、個別の実施計画書を的確に把握・理解することが必須の職業だ。絶対的規範のGCPを学ぶことからスタート知識医師や被験者をはじめ、治験に関わる数多くの関係者と連携を図る立場。相手に気配りする力や調整能力には自信がある。物事を円滑に進められる「潤滑油」タイプ素質安全性や負担感といった被験者保護の観点を重視しつつ、スピーディーに新薬を世に送り出す「縁の下の力持ち」を自認している。被験者を守りつつスムーズな治験を実現価値観製薬会社や医療機関から信頼されてアウトソーシングを受ける以上、プロとしてレベルの高い仕事で応えることが使命だ。「治験のプロ」として誇りを胸に創薬を支えるモチベーション被験者のスケジュール管理など、治験の円滑な進行を支えることが職務。提出期限のある書類も多く、締め切りは絶対に忘れない。進行管理は大得意!期日厳守の意識も高いスキルプロジェクトの進行状況によっては残業が発生しうるものの、比較的余裕のある時期はワークライフバランスを確保しやすい一面も。プロジェクト進行により忙しさにも波がある体力体技心CRO・SMO新薬が世に出るために欠かせない臨床試験(治験)を安全・円滑に進行させるプロフェッショナル集団、それがCRO・SMOだ。業界研究6 CRO(Contract Research Organization)とSMO(Site Management Organization)は、いずれも新薬開発の過程で治験の運営をサポートする専門企業だ。CROは製薬会社から、SMOは医療機関からアウトソーシングを受ける点で立ち位置が異なる。 治験は壮大なプロジェクトなので製薬会社や医療機関だけでは抱えきれず、アウトソーシング先であるCRO・SMOのニーズは大きい。治験がGCP(医薬品の臨床試験の実施基準)や実施計画書に従って適切に実施されているか確認したり、集積された症例報告書のデータを解析したりする、極めて高度な業務を担う。 日本CRO協会の発表によると、会員企業の総売上高は約2500億円、総従業員数は約1万9800人となっている(2023年)。また、日本SMO協会の発表によると、会員企業の総売上高(SMO事業のみ)は約475億円、総従業員数は約4900人となっている(2023年)。欧米などと比べると、日本における医薬品研究開発のアウトソーシング率はまだまだ低いといわれており、CRO・SMO業界がかなりの拡大余地を残していることは間違いないだろう。 CROで活躍する臨床開発モニターCRA(Clinical Research Associate)は、治験の適正な進行を監督する専門職で、ほかにも症例報告書の管理や各種契約・手続きを担う。治験が適正に実施されなければ結果の妥当性が担保できないためCRAの存在は重要であり、治験の全プロセスにわたって高度な専門性を発揮している。 SMOに所属する治験コーディネーターCRC(Clinical Research Coordinator)は、治験を実施する医療機関において、治験が円滑に進むよう医師をサポートする。治験に参加する患者へのインフォームドコンセントの補助、来院・検査のスケジュール管理、医療機関内の各部署間の調整、製薬会社への報告書作成の支援など、具体的な業務は多岐にわたる。また、被験者と直接コミュニケーションを取りながら、その不安や心的負担を軽減するようにケアすることも重要な役割の一つだ。日本の市場は未開拓伸び続ける余地あり業界のこれからFUTURE治験のサポーターとして多彩な役割を果たす働き方WORK一大事業の治験において専門企業の需要は大きい業界の今NOW治験の現場で必須となるGCPの資料がまとまった一冊を、常に参照できるようにしている。ポケット版やアプリ版を携帯する人も。治験に協力してくれる患者さんが適切に服薬できているか、副作用が起こっていないかなど、常に関係者と情報共有している。必須アイテム定番フレーズGCP資料集「あの患者さん、どうなりましたか?」GYOKAI KENKYU CRO·SMO79

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