薬学生のためのインターンシップ&キャリアガイド 夏号2027
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国家公務員、地方公務員共に、活躍のフィールドは非常に多様。薬学の専門性をベースに、担当する業務の知識をその都度習得していく。配属された職場ごとに求められることを習得知識高度な責任感と倫理観を有していることは大前提。ルールを遵守する姿勢は大切だが、前例にとらわれない柔軟性を求められるシーンも。責任感と倫理観に加えて柔軟性も求められる素質公に尽くし、国民あるいは地域住民に貢献することが公務員の務め。薬学部出身者としての知見と誇りを持って、その務めを果たしていく。国や地域など公共のために奉仕する価値観国や地域のニーズを捉えつつ、中長期的な視点に立って健康課題に挑むことのやりがいは、他の仕事ではなかなか得がたいものだ。各地のニーズを捉えて健康課題を解決したいモチベーション数年ごとの人事異動が一般的で、思いがけない分野やエリアに配属されることもあるが、「多様な経験が積める」とプラス思考で順応できる。未知の分野や業務にもスムーズに順応できるスキル週末や祝日が休みのケースが多く、プライベートを充実させやすいイメージだが、実は残業などが多い現場もあることを知っておこう。基本的に土日祝はお休みでプライベートも充実?体力体技心行政(公務員)業界研究8 超高齢社会を迎え、労働の中核的な担い手である生産年齢人口が減少している日本。医療や介護などの現場における課題は多岐にわたり、中長期的な視野で解決を図る必要がある。こうした、一企業や一医療機関では対応が難しいような、より大きな医療課題に取り組めることが行政職の醍醐味だ。 薬学部出身者のケースを見てみよう。国家公務員では、薬系技官(総合職)として厚生労働省などに所属し、薬事分野・保健医療分野・食品安全分野・化学物質分野・研究開発分野などの業務を担当。政策の立案から実施に至るまでのあらゆるプロセスに関わる。 一方、地方公務員では、県庁や市町村の役所、保健所、衛生研究所、公立病院などが主な活躍のフィールドとなる。地域に密着しながら健康課題の解決に挑んだり、住民の生命や健康を守ったりするイメージだ。 国や地域の奉仕者として存在する公務員の仕事は、時代が移り変わっても「なくなる」ことは考えにくい。不況の影響を受けづらく、安定性が高い魅力的な職業であることは確かだ。一方で、人口減少による税収の低下、一部事業の民営化、ICT化やAIの台頭といった背景から、公務員の人数が削減されたり業務範囲が縮小したりする流れも存在する。以前に比べて厳しい状況になっていくことも考えられるが、だからこそ熱意を持って意欲的に業務へ取り組む人材が求められるはずだ。 職場の活性化や特定団体との癒着防止といった観点から、行政職ではおおむね3~4年を目安に、定期的な人事異動が行われることが基本だ。採用された枠によっては、民間企業を含む他組織へ一定期間出向するケースもある。必ずしも自分が希望した部署へ行けるとは限らないが、言い換えれば、多様な経験を積みながら幅広い視野を養えるということ。国や地域のために貢献したいと考える人であれば、大きなやりがいや達成感を得られることは間違いないだろう。 ただし、薬剤師免許を取得した上で公務員試験にも合格する必要があるため、決して簡単にたどり着ける道ではないことも覚えておこう。安定性抜群の印象だが気になる時代の流れも業界のこれからFUTURE活躍のフィールドは数年ごとに変化していく働き方WORKますます重要性が増す「国や地域を支える」仕事業界の今NOWスーツ着用でない日も、打ち合わせや来客などに備えてジャケットを常備。職場のロッカーに、シンプルなデザインの一着を入れておく人も。レクとは、上職に事業内容などの説明をすること。こうした公務員ならではの用語は意外に多く、新人は苦労することも少なくない。必須アイテム定番フレーズジャケット「明日のレクの準備、これからだ……」GYOKAI KENKYU GOVERNMENT WORKER現代の日本において、医療や福祉に関連する課題は山積している。薬学の専門を生かし、幅広い観点で人々に貢献できるのが行政職だ。81

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